「転職・出戻り」必要とされる人間になること

転職が珍しくない今の時代、企業側も退職者に対する意識が変化しています。

「アルムナイ制度」という言葉を聞いたことがありますか?簡単に言えば、「出戻り制度」。自社を退職した社員を再雇用する制度です。終身雇用が当たり前であった時代は、退職者を再雇用する企業は少なく、むしろ退職社員は「裏切り者」の扱いを受けていました。

しかし、終身雇用制が崩壊し、スキルアップの為に転職を試みる今の時代。人手不足もあいまって企業も「即戦力」として元社員を歓迎する傾向が見られるようになっています。

せっかく育てた社員に辞められると雇う側の企業も大きな損失を被り、退職者が続くと「去る者は追わず」などのんびり構えている場合ではなくなります。

欠員を補うために新卒入社社員数を増員したり、中途採用を積極的に行ったりしますが、たとえ同じ業種であっても社風に馴染めるかという点も重要で、結果、思うような成果が出なくなる懸念も生じます。そこで社風を知り尽くしており、再雇用後、すんなりと馴染める「元社員」は非常に価値のあるもので「企業資産」にも成り得るのです。

採用コストの費用・労力の削減、採用ミスマッチのリスクを避ける面でも、この再雇用制度は企業にとってメリットをもたらすものとして期待されます。

私が以前勤務していた会社でも退職者受入れ制度を導入していました。しかし、一度退職をした会社に戻るのは戻る社員側もやはり勇気を要し、待遇面が悪くなるのではと心配する声も聞こえたのですが、受け入れる会社側の姿勢は徹底しており、「たとえ会社を辞めた社員であったとしても改めて会社の良さに気付いてくれ、そして他の会社を経験して戻って来てくれれば、その経験は必ずプラスに働く」。そして即戦力となるのであれば、退職時と同じ待遇で受け入れる、そのような取り組みを行っていました。社外の様々な価値観を持ち込んでくれることが会社の業績アップにつながることに気付いていたのです。

出戻り社員の姿勢

受入れ企業側のことのみを書いてきましたが、何より戻ってくることを歓迎される人になることです。必要とされる人間となること。それは在籍中の実績はもちろん、社内での人間関係をどれほど構築できたかで変わってきます。

また、円満に退職すること。当然のことですね。

「終身雇用時代」の私たち親世代から見ると転職をして自分の力を試す今の時代の生き方はもしかするとマイナスに映っているかも知れません。でも大手企業でもリストラの推進、業務縮小が日常的に話題になる時代。社会で求められる人間となるために必要となるのは「自分の力」です。それは技術的なことかも知れないし、人脈かも知れません。また、それまでの経験も大きな材料となるでしょう。

確かに転職は精神的にも決して楽ではありませんが、この再雇用制度が充実してくれば自分らしく活躍できる場所探しがもっと可能になるかも知れません。