子どもを産みたくない社会

少子化に歯止めをかけようと政府が政策を打ち出してはいますが少子化への加速を止めるにいたってはおらず、猛スピードで進んでいるのが日本の現状です。

諸外国でも子供を産みたくないと考える女性は増えていますが、アメリカやフランスの女性の産みたくない理由は「今のライフスタイルに満足をしているから」と積極的なものですが、日本の女性は「大変そうだから」といった消極的なものです。同じ時代に生きる女性で何故、こうも違っているのでしょう。

生き辛い社会

日本の女性の平均睡眠時間は1日7時間15分で平均より1時間以上短いというデータ結果があります。子育てと家事の負担が大きいのが主な理由です。「イクメン」と、子育てや家事に協力的な男性を褒める言葉がありますが、そもそも「協力」ということが既に家事・育児は女性がすべきものとの認識の表われなのです。

また、最近では公共の乗り物に「ベビーカースペース」が設けられており、幼児を連れた母親が利用しやすいような配慮もされています。取組自体は素晴らしいものですが、ここまで配慮しなければならない社会も考えてしまいます。わざわざスペースを設けなくてもベビーカーで幼児を連れた母親が乗車してくれば、みんながスペースを開けてあげれば良いだけなのに。

日本の支援制度

諸外国を見ますと、ノルウェーでは育休中の賃金がしっかり補償されており、またフィンランドでは出産から子育てまでを無料でサポートしてくれ、フランスでは大学までの学費が無料と、なかなか制度が充実しています。

ただ、日本の出産・育児への支援制度は実は諸外国と比較しても割と整っているレベルで、例えば、出産すると出産育児一時金が支給され医療費負担軽減になり、出産後は育児休業給付がなされ、育児休業取得の推進、労働時間短縮も推し進めており、仮に育児の為に退職をしても再就職の斡旋も行われています。その他にも低年齢児保育、延長保育、一時的保育事業の拡充などにも力を入れ始めています。

意識を変えること

子どもを産み育てる制度は整っているのに、なぜ女性は子どもを産むことに積極的になれないのでしょう。一つの理由として制度が周知されていないことです。そして大きな要因

として、いくら制度は整っていても周囲の意識が変わらなければ制度はただのお飾りでしかないということです。

職場において妊娠・出産をしている女性に対して行われる嫌がらせを示す言葉、「マタニティハラスメント」なんて言葉が取り上げられるほど、日本の女性はまだまだ生き辛いのです。

それは職場内だけでの問題ではなく、保育所の新設に住民の反対運動が起こる社会では

女性は出産に対して積極的にはなれないでしょう。そして、少子化で子どもが増えないということは、将来における新たな消費者、納税者が増えないということで、結果、社会の衰退へと繋がるのです。

もちろん、子どもを産む・産まないは本人の意思で決めることです。だからこそ、もっと女性が自由に生き方を選択できる、そんな社会へ変えていかなければ女性の意識が変わることはないのです。