修繕積立金が足りない

街中を車で走っていると幕に覆われたマンションを見かけます。大規模修繕工事が行われているのが一目で分かるのですが、「このマンションの修繕積立金、上がるだろうな」なんてことを考えます。

マンション・修繕積立金

戸建とマンションの大きな違いに管理費と修繕積立金の支払いがあります。修繕積立金はマンションの老朽化に伴い10年~12年ごとに外壁の塗り直し、屋上防水工事や配管、エレベーターといった付帯設備のメンテナンスを行うために長期修繕計画を基に管理組合で積み立てていくものです。

金額は築年数によっても変わりますが平均で㎡あたり180円前後となっています。マンションの規模や付帯設備によっても金額が変わるのですが、1万円~1万5千円ほどかかり、管理費と合わせると所有者にとっては大きな負担となるものです。

私が所有するマンションも一回目の大規模修繕工事の後に次の大規模修繕工事に向けて修繕計画の見直しを行っていますが、資材の高騰、消費税のアップ、人件費の上昇等を考慮しますと、なかなかの必要金額となり修繕積立金の値上げの話し合いが行われています。しかし、新築時から年数が経ち、建物とともに所有者の年齢も上がり、リタイアをした所有者もいる中、修繕積立金の捻出にも困難な人もおり、金額見直しは難航しているのが現実です。

自宅を担保に融資

そんな中、日経新聞に住宅金融支援機構が老朽化の進むマンションの修繕を金融支援する仕組みを進める記事が掲載されました。自宅に住み続けながら自宅を担保に生活資金を借入れ、死亡後に担保物件を売却等をして借入の返済に充てるリバースモーゲージというシステムがありますが、この修繕積立金バージョンのようです。借りた人は生存中は利息の支払いのみを行い、死亡後に自宅を売却して借入金の返済を行うものです。

借り手本人も利息の負担だけで済み、また管理会社の滞納の心配もなくなり、劣化が進んで修繕の必要があるのに資金不足で工事が出来ないといった問題の解決の糸口になりそうです。しかし、借主が死んだ後、自宅を売却して返済となると自宅を相続人に残せない、また住宅ローン以外の借入が付くので生前に売却したい時はどうすればいいのか等の不安材料もあります。

管理組合の機能

購入時には住宅ローンの支払いにばかり気持ちが行ってしまいがちですが、管理組合の修繕積立金の残高や長期修繕計画を確認し、将来の修繕積立金の予定金額の確認も大切です。

そして何より管理組合の運営を管理会社に任せっぱなしにするのではなく、所有者一人一人が関心を持ってマンションの価値を守る意識を持つことが重要だと思います。長期修繕計画は5年ごとに見直しが行われますのでその際に修繕工事の内容を確認し、必要な工事とそうではない工事を選別し費用の軽減を図ることも忘れてはいけないと思います。