認知症の方への支援

朝のニュース番組で「注文をまちがえるレストラン」の話題が放送されていました。

この「注文をまちがえるレストラン」は、認知症の状態にあるスタッフが料理の注文を取るレストランで、「注文した料理がきちんと届くかは誰にもわからない」レストランです。

「間違えることを受け入れて、むしろ楽しみましょう」という想いのもと運営をされており、お客さまもそれを承知されています。

間違えることを楽しむ

認知症への理解を深めてもらうのを目的として、厚生労働省内の職員向け食堂で開店もされ、接客をする方も受ける方も笑顔で食事を楽しむ様子が映し出されていました。このような取り組みは高齢化社会を迎えるにあたり大切であることは勿論なのですが、この映像を観ていると、自分の日常が何か目に見えないものに縛られている、そんな気持ちになりました。少しでも早く、丁寧な接客・相手へ100%を求める毎日に違和感を覚えるとともに、接客で何より大切なことは一生懸命に相手をもてなそうとする気持ちなんだと暖かい気持ちを覚えました。そして、あまりにも私たちは完璧を求めすぎているのではと。

加えて、高齢化社会に向けて、制度の充実を図ることも大切な第一歩ですが、一人一人が「間違えてもいいじゃない、そして間違えることを楽しもう」という気持ちを持てば自然と優しい社会が出来るんじゃないかと思います。

共に楽しく過ごせるように

高齢者向け施設でも、入所者が働いて収入を得る機会を設ける動きが広がっています。

生きがいを感じたり、生活費を補ってもらうことが目的ですが、「給料が楽しみだし、独りで過ごす時間が減った」と多くの利用者様の喜びの声が届いているそうです。

人手不足が深刻な介護業界では、人手不足を補う試みで、入所者の方に手伝ってもらい、現金に交換できるポイントを付与する制度の導入もされています。

以前、勤務していた介護施設では入居者の方にタオルをたたんでもらったり、テーブルを拭くお手伝いを頼んだところ、とても喜ばれて毎日、ご自身から手伝ってくださるようになった話を聞いたことがあります。最初は、ご家族よりクレームが起こったこともあったそうですが、生き生きと手伝う姿にご家族も安心されるようになりました。

歳を重ね、身体の自由が利かなくなると周囲に頼るしかなくなるのですが、人は最後まで誰かの役に立ちたい、喜んでもらいたいという気持ちがあるのです。

「いつか来た道、いつか行く道」という言葉がありますが、今、こうやって働いている自分もいつかは体の自由がきかなくなり、出来ていたことが出来なくなる、そんな時がやってきます。「出来なくてもいいじゃない」そんな優しい気持ちをもてる人が集まると、もっと生きやすい社会になるのですが。

子どもを産みたくない社会

少子化に歯止めをかけようと政府が政策を打ち出してはいますが少子化への加速を止めるにいたってはおらず、猛スピードで進んでいるのが日本の現状です。

諸外国でも子供を産みたくないと考える女性は増えていますが、アメリカやフランスの女性の産みたくない理由は「今のライフスタイルに満足をしているから」と積極的なものですが、日本の女性は「大変そうだから」といった消極的なものです。同じ時代に生きる女性で何故、こうも違っているのでしょう。

生き辛い社会

日本の女性の平均睡眠時間は1日7時間15分で平均より1時間以上短いというデータ結果があります。子育てと家事の負担が大きいのが主な理由です。「イクメン」と、子育てや家事に協力的な男性を褒める言葉がありますが、そもそも「協力」ということが既に家事・育児は女性がすべきものとの認識の表われなのです。

また、最近では公共の乗り物に「ベビーカースペース」が設けられており、幼児を連れた母親が利用しやすいような配慮もされています。取組自体は素晴らしいものですが、ここまで配慮しなければならない社会も考えてしまいます。わざわざスペースを設けなくてもベビーカーで幼児を連れた母親が乗車してくれば、みんながスペースを開けてあげれば良いだけなのに。

日本の支援制度

諸外国を見ますと、ノルウェーでは育休中の賃金がしっかり補償されており、またフィンランドでは出産から子育てまでを無料でサポートしてくれ、フランスでは大学までの学費が無料と、なかなか制度が充実しています。

ただ、日本の出産・育児への支援制度は実は諸外国と比較しても割と整っているレベルで、例えば、出産すると出産育児一時金が支給され医療費負担軽減になり、出産後は育児休業給付がなされ、育児休業取得の推進、労働時間短縮も推し進めており、仮に育児の為に退職をしても再就職の斡旋も行われています。その他にも低年齢児保育、延長保育、一時的保育事業の拡充などにも力を入れ始めています。

意識を変えること

子どもを産み育てる制度は整っているのに、なぜ女性は子どもを産むことに積極的になれないのでしょう。一つの理由として制度が周知されていないことです。そして大きな要因

として、いくら制度は整っていても周囲の意識が変わらなければ制度はただのお飾りでしかないということです。

職場において妊娠・出産をしている女性に対して行われる嫌がらせを示す言葉、「マタニティハラスメント」なんて言葉が取り上げられるほど、日本の女性はまだまだ生き辛いのです。

それは職場内だけでの問題ではなく、保育所の新設に住民の反対運動が起こる社会では

女性は出産に対して積極的にはなれないでしょう。そして、少子化で子どもが増えないということは、将来における新たな消費者、納税者が増えないということで、結果、社会の衰退へと繋がるのです。

もちろん、子どもを産む・産まないは本人の意思で決めることです。だからこそ、もっと女性が自由に生き方を選択できる、そんな社会へ変えていかなければ女性の意識が変わることはないのです。